Philosophy

心映えの美しい人が、美しい商品を美しい形で届ける。人としての豊かさを問い、ホスピタリティの本質を追求します。

訪れるたびに懐かしさを抱かせ、いつも新たな出会いをもたらしてくれる横沢の自然。二期倶楽部が位置する栃木県那須は関東の北限と東北の南限にあり、北方系と南方系の植物が混在しています。大正15年には皇室の那須御用邸がつくられ、ロイヤルリゾートとしても知られるようになりました。この地は、まさに自然の宝庫。私たちが事業を展開する横沢エリアの雑木林も、落葉から堆肥へ、伐採時の切り株から萌芽・生長へという循環が、さまざまな生命を育んでいます。ヒューマンサイズに残されたこの環境は、私たちのすべてのブランドの源です。「水は、渇きが教えてくれる。」
19世紀にその一文を書き留めたのは、ニューイングランドの詩人エミリー・ディキンソンです。当時のアメリカは、南北戦争と戦後の拝金主義によって心の廃墟化が進んでいましたが、エミリーは父のためにパンを焼き、人々にプディングをこしらえ、温室の植物を手入れして、少ない本を繰り返し読むという生活を守り続けました。

一つは、孤独のため。
一つは、友情のため。
一つは、社交のため。

20世紀から21世紀にかけて世界の質をどう変えていくべきかが問われているいま、二期倶楽部は少ないもので暮らすことのゆたかさを称えるため、ヘンリー・ソローが『ウォールデン』で著したように「森の生活と、三つの椅子を用意しました。」と語りかけました。時代はLUXEに傾斜しはじめていましたが、その流れに敢えて逆らうようなマニフェストです。ソローがいう三つの椅子さえあれば、他は何もいらない。私たちはいまこそ、ソローの「簡素な生活」やエミリーの「小さい手をいっぱいに広げて/天国をつかむ」のような生き方が求められているように思えてなりません。そうしたとき、私たちがしなければならないことは、それほど多くのことではありません。水のように渇きをいやすこと。

いのちにあふれた森でありつづけること。そして、竃に火を絶やさないこと。日ごろの暮らしぶりが時代の問いかけになり得るような生き方を、日本では古来から「事依佐志(ことよさし)」といいます。人としてどうあるべきか。最も大切なことは何か。私たちは仕事を通して「事依佐志」の道を学び、学んだことを自らの生につなげ、生きる本質を問い続けていきます。

History

1986

自然と共生する隠れ家「二期倶楽部」の誕生

3万2000坪の森と、那須の自然を活かしたわずか6室の客室からスタート。日本におけるオーベルジュの先駆けとなりました。建築家・渡辺明氏による、日本の伝統的な素材である大谷石や赤松を大胆に使った端正な建物は、デザイン界を中心に大きな話題となりました。 二期倶楽部の「二期」には、一度きりの出会いに終わらせず、何度でも訪ねていただきたいという願いと、リピーターのお客様(パートナー)との出会いを大事にしたいという「一期一会より、一期二会へ」の思想が込められています。ここに「ホテルの機能性」と「日本のおもてなし」、すなわち「日本旅館の持つホスピタリティ」を兼ね備え、しかもサロン的要素を持ち併せた、これまでにない形の宿泊施設が誕生しました。

1997

オーベルジュとしての更なる展開

1997年、空間デザイナーである杉本貴志氏のデザインによる別館を増設。14室の客室に加え、バーをしつらえたレストラン棟も完成。その設計は従来の「自然を見る空間」から「自然といっそう近づく空間」へと、「棟」から「群」へと移行し、宿泊群を点在させることにより、一層自然との関係を親密なものにしています。 畑からテーブルまでをコンセプトに自家菜園で無農薬栽培された食材など「食」というメインコンセプトの明確な表現と共に、森の中の露天風呂、どこよりも早くスタートしたアロマトリートメントなど、二期倶楽部独自の滞在スタイルが高く評価されました。

2003

コミュニティをつなぐスパリゾート「NIKI CLUB & SPA」

2003年、テレンス・コンラン卿率いるコンラン&パートナーズのデザインによる NIKI CLUB&SPA がオープン。自然林を生かした緩やかな台地にメイン棟と24室のコテージが完成。スパやトリートメントルームを擁した長期滞在型スパリゾートが誕生しました。「自然との融合」をテーマにしたこの建築群により、二期倶楽部の要素にリラクゼーションという快適さの追求が加わりました。別荘のような外観を持つ24の客室は、中庭を取り囲むように配置され、ゲスト同士がコミュニケーションを図れるように工夫されています。NIKI CLUB&SPA のオープンにより、二期倶楽部の食の要素に “身・心” の健康というテーマが加わりました。

2006

自然とアートとの融合「七石舞台 かがみ」

2006年、清水が沸き出る敷地内に、巨大な7つの巨石と鏡面ステンレスによる野外劇場「七石舞台 かがみ」が完成しました。松岡正剛氏のディレクションの下に、内藤廣氏が設計を手掛けたこの舞台は、屋根も柱もない、太古の石と現代のテクノロジーを使った鏡面ステンレスに空と木々とが逆さまに映り込むユニークな舞台です。2008年から開催されているオープンカレッジ「山のシューレ」のメイン舞台としても使用されました。

2007

「アートビオトープ那須」、ゲストハウス「観季館」

2007年3月、二期倶楽部の創業20周年を記念した文化事業としてアートビオトープ那須(現「アートビオトープ レジデンス」)がオープンしました。本格的な陶芸とガラスのスタジオを備えたこの施設では、国内外のアーティストの滞在制作を支援する「アーティスト・イン・レジデンス」プログラムや板橋廣美、三輪和彦、小池頌子、中村錦平、中村卓夫、新里明士、川端健太郎など、日本を代表する現代工芸家のワークショップを継続的に開催してきました。中庭で開催されるマルシェのシンボルなどとして親しまれているホワイトリムジンは、建築家・塚本由晴氏(アトリエ・ワン)によって設計されたものです。

また2007年10月には、祝典や祝宴のための施設として、建築・内装に地元那須の素材を使用したゲストハウス「観季館」が完成しました(設計:佐藤一郎氏)。那須の自然を象徴する木の素材とモダンなデザインが溶け合った建築は、自然の緑と光に満ち溢れ、オープンキッチンが併設されたメインダイニングは、シェフの調理風景に間近で接することの出来るライブ感ある設計となっています。

2008

サマーオープンカレッジ「山のシューレ」

2008年、特定非営利活動法人アート・ビオトープが主催するサマーオープンカレッジ「山のシューレ」が、那須・横沢地区を主会場にスタートしました。テーマは自然、芸術、哲学、文学、生物学、デザイン、音楽、建築学など多岐に亘り、講師と受講者が職業や領域、国境を超えて集い、交感する場所として、多くの参加者が集まる人気イベントとなっています。

「山のシューレ」は、「那須を日本のバイロイトに」という思いから始まりました。ロマン派を代表する作曲家、ワーグナーによって音楽の聖地となったドイツの小村バイロイトのように、那須・横沢の地が学びと文化を通じて、あらゆる垣根を越えて世界中の人々が集い、再び旅立っていく場所となることを願って、以後毎年開催されています。

2011

ツリーハウス「木階」

2011年、人間と自然との生きたインターフェイスのモデルとして新しい庭を共創していく「ガーデンプロジェクト」の最初の試みとして、ツリーハウス「木階(もっかい)」が誕生しました。設計を手掛けたのは日本を代表するツリーハウスクリエイターとして知られる小林崇氏。階段が十八段あることにちなむ「木階」の名は、詩人の高橋陸郎氏の命名によるものです。この「木階」はCasa Brutusの表紙をはじめ、国内外の様々なメディアで取り上げられ、多くの人々に親しまれました。
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