東館から橋を渡り終えた先、木製の柵の所から、朱色のきれいなキノコが生えています。
名前はそのまま、シュタケ。
茶色や灰色の木から、どのようにしてこのような鮮やかな色彩を作り出しているのでしょう。とても不思議ですね。
キノコと聞くと、食べられるかどうかが気になるところですが、
本種はサルノコシカケの仲間で、固く食用にはなりません。
花が釣鐘型で、根っこが朝鮮人参に似ていることからツリガネニンジン。
ずいぶんと安易なネーミングをされています。
可憐に咲く花からは、なんとなく鈴の音が聞こえてきそうです。
春の若芽はトトキと呼ばれる山菜で、大変美味です。
のどに痛みなどに効く薬効ももち、生薬名は沙参(しゃじん)といいます。
東館のメイン棟からパビリオンへ向かう途中の木道のわきから、
にょきっと顔を出しています。
キノコは分類が難しいのですが、今回巨大で目につくので、気になって調べてみました。
赤い柄を持ち、傘の色は黄色のこちらのきのこの名前はベニイグチといいます。
毒性についてははっきりしていないので、食べない方が無難です。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
東館、本館ともに客室周りで最近よく見られる紫色の花はヤブランです。
名前の通り、自然状態では藪の中のような暗いところに咲いています。
淡い紫色の花は、暗がりで咲くにはもったいないほど美しいです。
秋になると濃い青色をした実をつけ、これは表面の皮をむいて地面にたたきつけると、
スーパーボールのように勢いよく弾む面白い性質を持っています。
見つけたましら、ぜひおためしあれ。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
現在、本館の石畳の脇に群生している草です。
葉だけだとこれといった特徴がなく、
昨年から横を通っては、名前はなんだろうと考え、図鑑を引くたびに挫折していました。
本日改めてじっと見つめていたら、小さな花が咲いていました。
どことなく萩に似てマメ科っぽいので、それを手掛かりに図鑑を探し、
ようやく名前を知ることが出来ました。
このヤハズソウ(名前がわかるってなんて素晴らしいんでしょう)、
葉っぱを縦ににちぎると、自然に矢筈(矢の弦をかける部分)
にそっくりな形に裂けるのです。
これからも、二期の森の植物たちの名前をちゃんと分かってあげられるように、
日々勉強していきたいと思います。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
現在、本館周辺で見ごろを迎えているのがこのタマアジサイです。
二期倶楽部では普通のアジサイもまだかろうじて咲いていますが、
本種は秋の風が感じられるようになってから最盛期を迎えます。
花だけ見ると、「普通のアジサイと変わらないじゃないか」
という感想を持たれる方も多いと思いますが、
つぼみを見れば、この名前もごもっともだとお分かりいただけるでしょう。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
キッチンガーデンの果樹園で、先が長く伸びた不思議な植物が生えています。
こちらはカラスビシャク。特徴的な先端部分を柄杓に例えた名前です。
漢方では半夏(ハンゲ)と呼ばれ、球根は吐き気止めとして利用されます。
古い時代に中国から日本に入ってきた帰化植物です。
日本ではすっかり風景にとけこんでいますが、
北アメリカの一部では、侵略的外来種として厄介がられているようです。
二期の森のあちこちで、ヤマハギの小さな花が咲いています。
マメ科の植物なので、同じ科のカラスノエンドウやフジなどと花の雰囲気が似ていますね。
古代の日本人に愛されており、秋の七草に数えられるとともに、
万葉集では桜を抑えて、最も多く詠まれている花です。
現在敷地内で見られる秋の七草は、ハギ、キキョウ、ススキ、クズです。
もう少しで、キッチンガーデンでフジバカマが咲きます。
森のあちこちに、オトギリソウの花が咲き始めました。
「弟を切る草」という、おどろおどろしい名前を持っていますが、
これはこの草の薬効の秘密を洩らした弟を兄が斬り殺したという伝説に由来します。
葉や花びらには黒い黒点がありますが、
これがそのとき飛び散った血の跡だといわれています。
実際、この草の薬効は絶大で、生の葉は切り傷や打ち身に効くほか、
乾燥したオトギリソウを、焼酎につけておいたオトギリソウ酒は、
虫刺されにつけるとかゆみがあっという間に止まり、腫れずにすぐ直ってしまいます。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
二期の森にはいろいろな木がありますが、
その中でも、子供たちに大人気の昆虫が集まるのは、樹液が流れ出ている木です。
クヌギやコナラなどの木の栄養分の通り道を
スズメバチやカミキリムシが傷をつけることによって樹液が流れ出し、
それが発酵してアルコールや酢酸ができます。
そのため、近づくと甘酸っぱいにおいがします。
通称、昆虫酒場と呼ばれるこの場所には、いろいろな昆虫たちが集まってきます。
最近は少なくなってきましたが、朝方に行くとカブトムシやクワガタが見られます。
本日、昼間にのぞいてみると、緑色に光る宝石のようなアオカナブンと、
蛇の眼の模様をもつサトマダラヒカゲ(写真下)が、樹液をおいしそうに吸っていました。
最初はサトマダラヒカゲが樹液の出ている中心部分にいて、
青カナブンは隅っこで肩身の狭そうに吸っていました。
私が撮影のために近づいて、チョウたちが逃げてしまったその瞬間、
ここぞとばかりに樹液の出ている中心へアオカナブンが猛ダッシュしていました。
見た目はカナブンの方が強そうなのですが...。
ちなみにこのあとキイロスズメバチとアオカナブンが一緒に樹液をお相伴していました。
昆虫の世界には不思議な序列があるようです。
森の中を見回してみると、至るところで土が盛り上がっています。
周りがコケで緑色なので、余計に目につきます。
こちらはモグラ塚。
モグラがトンネルを掘って出た残土を、地表に出した時にできます。
二期の森の地下には、モグラの作ったトンネルが、縦横無尽に走っているのでしょう。
モグラ塚は何度も見ていますが、まだ本物のモグラの姿を見たことがありません。
一度お目にかかりたいものです。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
二期の森を歩いていると、道の脇にひっそりとツルリンドウの花が咲いていました。
今は淡い紫色で、気づかず素通りしてしまいそうですが、
秋が深まると真紅の果実が実り、そちらは宝石のように美しいです。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
厳しい冬を乗り越えるために、ビニルハウス内でハーブを育てているハーブガーデンは、
真夏はうって変わって40℃以上になってしまいます。
そのため夏は夏で、暑さに弱いミントやマジョラムは一度枯れあがります。
また、チャービルやコリアンダーなどセリ科のハーブ類は暑さのピーク前に
一度その生涯を終わりにし、種の状態で夏を乗り越えます。
一年を通じて、同じように収穫できる植物はほんの一握りしかありません。
ハーブにも旬がありますので、できればそれに合わせて使用していただきたいです。
森のコンシェルジュ 舘田 貴明
ミョウガ [茗荷] / ショウガ [生姜]
上の写真はミョウガ、香りがやや弱いので「妹香」(めのか)、
下の写真がショウガで香りが強いために「兄香」(せのか)と呼ばれていました。
そしてそれぞれの名前が「めのか」→「めぇのか」→「みょうが」
と変化していったと考えられています。
さて、ミョウガは畑の脇の木陰などに植えておき、
ミツバなどと一緒に薬味として利用されることが多いものでした。
ショウガはミョウガとともに中国大陸から伝わってきたもので、
日本ではすりおろしたものを使う傾向が強いです。
また保温効果が高く、二期ではNikissimoでのトリートメントの際によく使用しています。
トマトとバジル
キッチンガーデン1号棟ではトマトとバジルがたくましく成長しています。
コンパニオンプランツとしての力を利用して、トマトとバジルを交互に植え付けています。
これにより病害虫を防ぐ効果があります。
また、ハウスの一角ではスイカの栽培を行っていますが、8月も下旬にさしかかるのに、
未だ食べごろを迎えることができません。
アピオス [Apios]
もしくは、アメリカホドイモと呼ばれているアピオスは
北アメリカのインディアンが食べていたイモの一種です。
じゃがいもみたいなイモがたくさんできます。
このイモはキクイモや他のイモと同様に栄養価が高いことから、
日本では妊婦さんが食べるとよいとされているところもあります。
写真はアピオスの花で、この花も食べることができるため、
ごくたまにレストランへ届けています。
ソメイヨシノ [染井吉野]
キッチンガーデンの周囲にはソメイヨシノが植樹されていますので、
春は桜の花に囲まれます。
ソメイヨシノは水はけのよい場所を好むため、
高台のような公園や道路わきなどに植えられるもののため、
二期の畑のような環境はやや厳しいようです。
また、アメリカシロヒトリなど害虫の温床になりやすいため、
本来なら定期的に消毒が必要です。
森のコンシェルジュ 舘田 貴明
キンレンカ [ナスタチウム]
よく映える黄色と赤のキンレンカはナスタチウム(本来はクレソンの学名)
という通称の方が一般的です。
エディブルフラワーとして、お料理に彩りを添えるため、毎年よく使用しています。
なお、葉にはハモグリバエという不快害虫の幼虫が這った
白い跡があるものもよく見かけます。そのため収穫には注意が必要です。
もちろん食べても毒ではありません。
ブルーベリー [blue berry]
梅雨時期からたくさん収穫できたブルーベリーは
8月中旬にはすっかり小さな実しか取れなくなってしまいます。
後半は特にサルも食べなくなり、ヒヨドリがたまに啄みにくる程度です。
ブルーベリーの垣根は4列あるため、
特に7月中のキッチンガーデンの名物のひとつともいえます。
また、酸性土壌を好む傾向もあることから、二期の畑に向いています。
イチジク [無花果]
ブルーベリーと並んで多収で、キッチンガーデンの名物になりつつあるイチジクは
夏の暑い盛りを超えてから収穫できるようになります。
本来は暖地で栽培するもののため、那須では収穫量は減ってしまうのですが、
RGの農家さん指導のもとで支柱仕立ての栽培に変更、収穫量は徐々に増えています。
※この方法はまだ一般的でないです。
ブラックベリー [Black Berry]
キイチゴの仲間のブラックベリーはその大振りな実が特徴的ですが、
味わいも大振りのため生で食べるには限度があります。
よく成長するために意外なほど多収なので、
ジャムなどの加工食品にすれば活路が見いだせると思います。
森のコンシェルジュ 舘田 貴明
オクラ [秋葵] オクラの花が咲いています。
この花は夜に咲き始めるため朝までは見ることができますが、
昼過ぎには萎んでしまいます。
他のエディブルフラワーのようにオクラの花も食べることができます。
ネバネバ野菜の代表格であるオクラは、もちろん花もネバつき、なかなかに美味です。
もともとは熱帯の植物のために、二期の畑では梅雨明け以降からぐんぐん成長して、
立派なオクラをたくさん収穫することができるようになります。
インゲン [隠元豆]
インゲン豆もつる植物のため、放っておくと際限なく広がってしまいます。
そのために支柱を立てて、上に伸びるようにしています。
上のオクラは英語で「Okra」ですが、インゲンは何故に「隠元」かは不明です。
甘長とうがらし
辛みがほとんどないためにピーマンのようにも食べることができる甘長とうがらしも、
背丈の割にはたくさん収穫できる野菜のひとつです。
写真はその花で、ピーマンやししとうと同じ種類なのが花を見れば一目でわかります。
モロヘイヤ [nalta jute]
よく毒があると思われているのは果実の方で、若葉は食べられます。
ズッキーニと同じように近年になってから普及した食用植物の一種で、
もともとはエジプトやインド、地中海沿岸で食べられていたものです。
栄養価が高いことから、夏バテ防止に良いとされ、根強い人気があるため、
中国からの輸入も多く、残留農薬の検疫で引っかかったこともあります。
ツルムラサキ [蔓紫]
やや粘り気のあるホウレンソウといった感じで、
ホウレンソウ同様におひたし、やてんぷら、煮物など何にでも使うことができます。
特にカロチンを多く含んでいることから、栄養価の高い野菜とされています。
オクラやモロヘイヤと同じようにねっとりとしたものが好きな人にはたまりません。
ネギ [葱]
説明する必要のない一般的な野菜のひとつであるネギは、
春に種まきすれば夏に収穫することができます。
基本的には夏に種まき冬の前に収穫することが多いです。
このネギは湿度に弱く、また酸性を嫌うため、
那須のような湿度が高く酸度の強い土地では栽培に不向きですが、
土壌改良をすすめれば写真のように立派に成長します。
森のコンシェルジュ 舘田 貴明
トウモロコシ [玉蜀黍] 田舎の畑で食べる美味しいおやつともいえるトウモロコシは、
二期の畑では毎年植え付け量を減らしています。
それはサルの食害が多く発生し、人間が食べる分がなくなってしまうからです。
写真はもう少しで食べごろのトウモロコシですが、
この2日後にすべてサルに齧られてしまいました。
さらに実を食べるだけならまだしも、茎をバキバキ折ってしまうため始末に負えません。
ゴーヤ [ツルレイシ]
今や沖縄料理の代名詞ともいえるゴーヤは那須のような冷涼な気候でも、
梅雨を過ぎれば栽培できます。
独特の苦みが特徴的なゴーヤは、意外とその用途が少ないようで、
いつも売れ残ってしまいます。
アカゲウリ [赤毛瓜]
二期の畑で栽培している沖縄シリーズのアカモゥイは、
瓜の独特の臭みが少ないために薄くスライスしてサラダ感覚でも食べることができます。
那須に住むサルは北国育ちのためか、ゴーヤやウリには手を出しません。
ここ数年二期周辺ではサル害が酷く、中には農業をやめてしまう人も出てきています。
抜本的な対策はサルを駆除するしかないのですが、
人間と同じような姿をしたサルを撃ち殺せるような人はほとんどいないのが現状です。
森のコンシェルジュ 舘田 貴明
8月も中旬を迎えキッチンガーデンでは外の畝間で、
たくさんの野菜を収穫することができます。
一年のうちでも一番たくさん収穫量の多い、この時期の野菜を紹介します。
キュウリ [胡瓜]
棚を作って育てるのが一般的なキュウリですが、二期の畑では地這でも栽培しています。
棚づくりは場所も取らずに経済的でまっすぐな形の良いキュウリがたくさん取れますが、
その反面皮が固くなり味わいも淡泊になりやすい傾向があります。
地這の場合は色や形が悪いですが、皮が薄く甘みがある昔ながらのキュウリになります。
ナス [茄子]
ナスは白ナス(写真上)、水ナス(写真中)、丸ナス(写真下)
写真はありませんが長ナスと4種類栽培しています。
8月中旬からは毎日のようにたくさん収穫できるため、
キュウリやトマトと並んで夏野菜の代名詞ともいえる存在です。
特に湿気の多い那須の気候はナスによく合うようで、
長い期間収穫できる費用対効果の高い野菜です。ナスは連作障害が多いため、
毎年毎年違う場所で栽培しています
ズッキーニ [Zucchini]
近年人気のズッキーニはカボチャの仲間でもあるために、
栽培場所を広くとる必要があります。
ズッキーニは成長が早く、一日収穫し忘れるだけで、
ウリみたいな大きさにまで育ってしまうことがあるため、
取れるときは一度に大量に収穫できてしまいます。
今年はバランスよく収穫するためにも、植える時期をずらして、
収穫時期もずれるようにしています。
栽培については根が浅く、また過湿な土は嫌いなようで
うどんこ病にかかりやすい点が問題です。
森のコンシェルジュ 舘田 貴明
二期の森は夏の盛りになってからようやく花咲く植物も多くあります。
写真はタラノキ、白っぽい花のつぼみがたくさん見られます。
タラノキは春先に新芽を摘んで、てんぷらなどで食べますが、
その新芽を取らない場合は写真のように巨大な葉っぱを広げてしまいます。
森のコンシェルジュ 舘田 貴明
和種薄荷とも呼ばれるハッカは日本のミントともいえます。
今でこそは様々な種類のミントが市場に出回っていますが、
特に明治時代は北海道から九州まで栽培できるために、貴重な輸出品のひとつでした。
その後はブラジルやインドなどの安価なハッカに押されて
ハッカ栽培は衰退してしまいました。
水田の脇のススキの原で、最近、穂が出始めました。
ますます秋が近づいているのを感じます。
現在水田の稲は花が咲いており、おしべが風にそよいでいます。
これからススキの穂が出そろう時期になると、水田の稲穂が金色に染まり、
それは見事な景色が広がります。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
8月のお盆近くなると、二期倶楽部では東館客室やキッチンガーデンで、
ミソハギの紅紫色の花が咲き始めます。
穢れを払う「禊(みそぎ)」に用い、花が「萩(はぎ)」の花に似ているので
「ミソギハギ」から「ミソハギ」に転訛しました。
地方によっては花に水をつけてお盆の供物に振り掛け、清める風習があり、
別名「盆花(ボンバナ)」とも呼ぶところもあります。
観賞用や禊に用いるだけでなく、ミソハギは生薬としても用いられます。
開花期に全草を乾燥させたものは千屈菜(せんくつさい)と呼ばれ、
煎じ液を外用すれば湿疹やかぶれに効き、服用すればのどの渇きを癒します。
ミソハギが風に吹かれてそよそよと揺れる姿を見てみると、
夏の盛りがゆっくりと過ぎていくのを感じますね。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
シロツメクサは誰もが四葉のクローバーを探したことのある馴染み深い植物のひとつで、
大元はオランダからガラスを輸入した際に、
割れないようにクッション替わりに詰められていたものが帰化しました。
白いシロツメクサの他には、写真の紫色の詰め草もありました。
エストロゲン(いわゆる女性ホルモン)が豊富で、
女性のためのハーブとしての一面があります。
那須では暑さのピークを迎えました。
7月までは緑濃くなる森の中も、
8月中旬からは疲れて枯れてしまった茶色い葉が目立つようになります。
そんな暑さの中でも花咲く植物は多いです。写真はイタドリ、
雑草と呼ぶには大きな身体を持ちます。
森のコンシェルジュ 舘田 貴明
本館周辺の植え込みなどに出てくる雑草の一つです。
草むしりをする方にとっては厄介者なのですが、
よくよく姿を見てみると、
茎から放射状に葉が出ていてなんとも芸術的な気がします(私だけでしょうか?)
表面に細かいトゲがたくさん生えているため、
草むしりでこの草を触れると、痛くはないですが、皮膚にくっつく感じがします。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
つる性の植物で、道路の縁などでは周りの草やポールなどに巻きついています。
現在、白く小さな花を咲かせており、まるでレースのようで可憐です。
葉っぱもハート形で、かわいらしい植物と思いきや、
見た目に惑わされると痛い目にあいます。
ヤマノイモの仲間にもかかわらず、オニドコロの根には毒があるので、
その昔は魚毒としても使われていたようです。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
アートビオトープの入り口に、黄色いタンポポそっくりの花が咲いています。
しかし、タンポポにしては異様に茎が長く、色も緑色です。
こちらはブタナ。
フランスでの俗名であるsalade de porc (=ブタのサラダ)の由来します
札幌で最初に発見されたときは見た目通り「タンポポモドキ」という名前だったのですが、
なぜかこの名におさまってしまいました。
ちょっとかわいそうな花ですね。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
東館の52号室の壁や、客室中央の植え込みなどで、 濃いオレンジ色の花が咲き始めました。 こちらはアメリカノウゼンカズラといいます。 こちらは中央の植え込みのものなのですが、ずっと名前が分からずにいて、 名が分からなかった植物の名前が分かるようになるのは、とてもうれしいです。 森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
の森の中、鮮やかな朱色をしたフシグロセンノウが咲き始めました。
名前の「フシグロ」とは、茎の節の部分が黒いことを示していますが、
「センノウ」の部分については由来が諸説あります。
思わず摘んで持ち帰りたくなりますが、
県によっては絶滅危惧に指定されるほど貴重な植物となっていますので、
そっと見守ってあげましょう
キッチンガーデンの植木などに、縦横無尽に絡みついてくるこの植物。
ぴったりな名前がついていて、その名も「ヤブガラシ」といいます。
引っこ抜いても、またいつの間にか植木を覆ってしまい、繁殖力が大変強いです。
人間にとっては厄介な雑草ですが、花から蜜がたくさん出るため昆虫たちからは大人気。
周りにはチョウやアリ、ハチ、コガネムシなどが絶えず群がっています。
キッチンガーデンのハウス横にあるタイムが、夏真っ盛りのこの時期、
旺盛な繁殖力をもった雑草たち(特にスギナ)に埋もれてしまったので、
タイム救出作業を行いました。
炎天下の中、無心に雑草を抜いていると、
小さなオレンジ色の花が混じって咲いており、思わず写真を撮ってしまいました。
こちらはコケオトギリといい、オトギリソウの仲間の小型種です。
かわいらしい花ですが、レストランで多用されるタイムが最優先ですので、
涙を飲んでさよならしました。
次に逢うときは、抜かれる心配のないところでひっそり咲いていてほしいです
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
本館池前のお部屋の前を歩いていると、ブ~ンと羽音をたててこの昆虫が飛んできて、 大谷石の上にとまりました。 一目でカミキリムシだとは分かりましたが、何の種類かは分からなかったので、 調べてみました。 分かった名前はゴマダラカミキリ。 漢字表記から言ったら「ゴママダラカミキリ」でしょうが、 読みは「マ」を一つ省略するようです。 確かに白い斑点がゴマのように見えます。 まだら模様の体に、縞模様の長い触角と、一見美しい姿ですが、 果樹などの生木を食べてしまうので、害虫として扱われています。 キッチンガーデンにもイチジクの木がたくさんあるので、この昆虫はお呼びでないです。 森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
キッチンガーデンのハウス内では、やっとスイカの実が大きくなってきました。
葉っぱの間から、縞模様の実をのぞかせています。
下に藁が敷いてあるのは、実が地面について痛んでしまうのを防ぐためです。
食べごろになるまで、もう少しお待ちくださいませ。
キッチンガーデンの木道を通ると、よく見かける真っ黒な虫です。
移動速度があまりにも速く、写真がぼやけてしまいました。
異様に長いダンゴ虫、
はたまたナウシカに出てくる王蟲の眼がついていないバージョンのような恰好をしています。
ずっと何者なのか分からないでいたのですが、
今回調べてみると「オオヒラタシデムシ」という昆虫の幼虫でした。
シデムシの仲間は漢字で書くと「埋葬虫」、「死出虫」と書くように、
小動物の死体や糞を食べて生きています。
先日ご紹介したセンチコガネと同じ森のお掃除屋さんで、なくてはならない存在です。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
東館35号室前には、赤い実をたくさんつけた木があります。
こちらはガマズミです。
地元の農家さんでもあるキッチンガーデンのスタッフの方々イチオシの、
おいしい果実酒ができる実です。
今も赤く熟しているように見えますが、
果実酒にするには一度霜にあたって甘くなった実を使うのが一番だそうです。
森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
田園の東側の小路に、ひっそりとヤマジノホトトギスの花が咲いていました。
噴水のような独特な形状をしていますね。そろそろ森全体で咲き始めます。
山路で見られ、花についているまだら模様が、
ホトトギスのお腹にある模様に似ていることからこの名がついています。
東館で、ノリウツギの白い花が咲き始めました。 茎が中空の「空木」シリーズの一つです。 名前の由来は、樹液を和紙をすく時の糊として使ったことから。 葉をゆっくりちぎってみると、まるで糸を引くように見えて面白いです。 アジサイの仲間なので、花もよく似ていますね。 森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
東館から川沿いを通って本館に入る手前で、 岩の表面から直接葉っぱが出ているように見える植物がイワタバコです。 現在、紫色の星形をした花を咲かせています。 あまりにひっそり咲いているので、気づかずに通り過ぎてしまいそうです。 山野草として人気がありますが、若い葉は山菜として食用にもなります。 森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
東館と本館をつなぐ道に、白いヤマユリの花に交じって、 ヤブカンゾウの濃いオレンジ色の花が咲き始めました。 古くは「ワスレグサ」とも呼ばれ、心の憂いを忘れさせてくれるとされていました。 新芽は和え物、おひたし、煮物などにして食べられます。 森のコンシェルジュ 阿久津 瞳
キッチンガーデンやアートビオトープ周辺の樹木などに巻きついている蔓植物です。
一見かわいらしい花なのですが、
名前から想像できる通り、この植物は触れると何とも言えない嫌な臭いがします。
畑でブルーベリー収穫をしている途中、うっかりしていると、
この異臭のする植物を触ってしまうことがあるので、要注意です。
そんなヘクソカズラですが、じつは薬効があり、
果実はしもやけやあかぎれなどに大変効果があるようです。
チドメグサの一種です。その名の通りに野山で遊んでいるときなどで、
擦り傷や切り傷を付けた時に、このチドメグサの葉を揉んで塗りつけると血が止まります。
田舎で育った人なら誰でも知っている日本の薬用ハーブの代名詞のひとつですが、
湿ったところにびっしり生えてくるので、
どちらかというと庭に蔓延(はびこ)る雑草という一面が強い植物です。
非常に分かりにくいですが、写真中央上の方に、
とても小さなチドメグサの花が白く咲いています。
夏の暑い盛りはチドメグサの花が満開です。
森のコンシェルジュ 舘田 貴明