日を追うごとに空は遠くへ、緑は少なくなってきています。
9月に入ると朝晩の冷え込みが強くなり、やがて来る長い冬を意識せざるを得ません。
秋の七草も出揃う前半を過ぎると、森の中に咲く花々はめっきりと少なくなってしまいます。
[ユウガギク]
[アサガオ]
[ミゾソバ]
[シロホトトギス]
二期の森では様々な木の実を見つけることができます。夏の間に蓄えた栄養は
次の世代のための種子になり、また動物たちの食事にもなります。
[アラカシ(どんぐり)]
[松ぼっくり(リスの食べた跡)]
[クリ]
緑一色だった夏の景色も、少しずつ稲穂は黄色く、少しずつ木々の葉も彩ります。
やがて背後に佇む那須連山も、秋の装いへと移り変わります。
[田園から那須連山]
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
まるでヒマワリのように、高い背丈に黄色い花をつけています。
このキクイモは地下にショウガのような芋(塊茎)をつくり
その芋を食べることができます。味わいはやや微妙なものの、
デンプンではなくイヌリンを豊富に含むことから、
体内で消化吸収されることがないため血糖値を上昇させません。
もともとは家畜の飼料用として北アメリカから渡ってきたものですが、
最近ではこのキクイモが糖尿病に良いとされ、注目を集めてきています。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
足元にひっそりと咲いているのは、サルビアのような形をした、
キバナアキギリの花です。
秋深まる二期の森、小さな花が静かに彩ります。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
独特の形状をしたヤマボウシの赤い実が
あちこちで見つけられるようになりました。
この実はそのまま食べることができ、熟したものは
桃みたいに甘く美味です。
ただ、味にバラつきがあるようなので
果実酒にするのがおススメです。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
草かんむりに「秋」で萩。
秋を代表する花として、日本では古くから愛され続けてきました。
もともとハギは日本全国の山野に普通に分布していて、まだ暑さが残る初秋から
華奢な花をたくさん咲かせてくれます。昔の人たちはこの小さな花を見て、
夏の終わりと静かにしのび寄る秋を感じ取り、寂寥感に浸っていたのでしょうか。
実際に万葉集では、数ある植物の中でもこのハギを詠んだものが一番多くあります。
『秋の野に咲きたる花を 指折りて数ふれば七種の花』 山上憶良
『芽子が花尾花葛花瞿麦の花女郎花また藤袴朝貌の花』 山上憶良
※ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ(秋の七草を詠んだもの)
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
ずいぶんと花の数が少なくなった森の中では、
アキノキリンソウが目立つようになりました。
9月に入ってからは、日に日に葉が落ちてゆくので、
心なしか木漏れ日がまぶしく感じるようになります。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
誰もが知っている植物のひとつですが、秋に咲く花はとても地味なため、
なかなか気に留められないのが少しかわいそうです。
ヨモギはあちこちに普通に生えてくるため、古くから人々の生活に利用されていました。
春の新芽は独特の香りが漂い、山菜としておひたしや天ぷらで食します。
何よりも美味しい草もちには欠かせません。
生薬としても身体を温める効能があり、食欲増進や免疫増強に利用されます。
また、お灸の「もぐさ」はヨモギの若葉から作ります。
どこにでも生えてくるのにもかかわらず、様々な用途に大活躍するヨモギですが、
残念ながら秋の花粉症のアレルゲンでもあります。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
ありがたそうな名前の由来は、薬師如来の草だとか、この苦味が薬になるためなど
諸説ありますが現在では分かりません。
ただ、薬としては腫物に効く程度ですので、薬由来の名前ではなさそうですね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
藪の中でひっそりと花を咲かせています。
ほとんどの植物は地上で花を咲かせますが、このヤブマメはこの花のほかに、土の中にも花をつける
珍しい種類のひとつです。地下の花は当然受粉が出来ないために、単為生殖になってしまいます。
しかし、有性生殖のように相手が見つからず受粉できないことがないため、
確実に種子を残すことはできるのです。
自家受精は自分と同じ遺伝子のために、まったく同じ環境ならば生育に問題はありませんが、
自然界では環境は刻々と変化していますので、来るべき環境変化への対応の可能性として
有性生殖によって遺伝の多様性を求めています。
このヤブマメは地下と地上の両方に花をつけることで、自らの遺伝子のリスクヘッジを行っています。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明