[スギゴケと朝露]
朝露と霧と土壌の水分と降りしきる雨が、植物たちに恵みをもたらしました。
日増しに力強くなる日差しと、爽やかな風が吹き抜ける6月の上旬は
過ごしやすい日が多くなります。
森の中では、ヤマボウシの白い花や、ニシキウツギなどが目立つようになり、
敷地内でも黄色いゼンテイカ(ニッコウキスゲ)やほのかな香りの
バイカウツギなどが咲き始めました。
[ベニヤマボウシ]
[スイカズラ]
[ゼンテイカ (ニッコウキスゲ)]
また、野いちごに始まり、フサスグリ、クワ、しだれ桃、ニワトコ、クルミなど、
早くもたくさんの果実が実りはじめます。
[フサスグリ (赤すぐり)]
[しだれ桃]
やがて卯の花(ウツギ)と同じ時期に那須では梅雨入りします。
森の中は乱反射する水滴に覆われ、密かに輝きはじめます。
[シロバナヤエウツギ]
[タケニグサと朝露]
さて、7月上旬はいよいよアジサイが満開を迎えます。
また、ほんの少しですがホタルも飛び始め、森の中では
クワガタやカブトムシを捕まえることができるようになります。
[二會川]
名もなき源流から水を集め、那珂川を経て太平洋へと注ぎます。
夏場でもひんやりとした流れの中には、イワナやヤマメが生息しています。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
下野国が産地、もしくは下野国に多かったから
そのままシモツケと名付けられたと言われています。
下野国は現在の栃木県とほぼ同じ場所で、以前は下野毛国と書きました。
また、現在の群馬県と栃木県を合わせて、令制国では毛野国が存在していて、
群馬県側は上野国(こうずけのくに)となります。鬼怒川は古くは「毛野川」であり、
毛野国は東遷する前の「毛野川」流域に勢力を成していました。
やがて国の名称は漢字2文字にする法律ができ、下野毛は
「毛」が抜けて下野になります。
栃木県内では現在でも下野という名称をよく耳にします。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
梅雨の中休み。快晴。
足元から立ち込める大地の香りには、何ともいえない
クリの花の青臭さが混ざります。
風になびく細長い花々は、樹木全体につくためよく目立ちます。
クリの実はもちろん、この花が発達したものです。
クリの花は先端の方まで雄花が咲いていて、基部の方には雌花が
ついています。小さなイガのような雌花の中には、めしべが3つあり
これが成長すると見慣れたクリの実になります。
イガの中の実がいつも3個なのは、めしべが3つあるからです。
残念ながら先の方の雄花たちは、雌花が受粉するまでです。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
二期の森を流れる渓流に沿って、頼りない花々がぶら下がっています。
変わった形状の花も、ずんぐりとしたクマバチが
すっぽりと収まる様子を見ると納得してしまいます。
おそらくハチたちに受粉してもらいやすいように
進化していったのでしょう。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
相変わらずのお天気が続いています。
雨も乾かない東館パビリオンコート。
バイカウツギのほのかな香りが、気持ちを和らげてくれます。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
「ゆすら」と不思議な名前の梅です。
漢字では山桜と桃と梅でユスラウメ。もしくは「梅桃」と書きます。
字だけでは、ますます理解できなくなってしまいますね。
この「ゆすら」は実を採るために、木を揺らすことから付けられたと言われています。
また、朝鮮名の移徒楽(いさら)からという説もあります。
真っ赤に熟した実は、そのまま食べることができます。
すっきりしないお天気の下では、鮮やかな赤が良く映えます。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
小さな花たちがアジサイのように集まっています。
ガマズミは秋になると真っ赤な実をたくさんつけます。
生でも食べられますが、酸っぱいので
果実酒などに漬け込むのが良いかと思います。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
那須の近辺では「蛇枕」と呼ぶ方もいらっしゃいます。
見た目も名前も独特な雰囲気を醸し出しています。
マムシグサは茎のように見える部分の模様がマムシを
連想させるため、そう呼ばれています。
花が咲いているのですが、大きく目立つ紫と白の部分は苞(ほう)と呼び、
その中にある黄緑色の棒状のものに小さな花がびっしりと付いています。
この苞は仏炎苞(ぶつえんほう)といい、清らかなミズバショウと同じ花の作りです。
実はミズバショウもマムシグサも同じサトイモ科です。
どうしてこのように違いが出てしまったのでしょうか。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
すっと伸びた茎に、淡い色合いの花を規則的につけています。
夏から見られるアキノタムラソウによく似ていますが、
こちらは別名ケナツノタムラソウ(毛夏の田村草)と呼ばれていて、
梅雨頃に花を咲かせてくれます。
シソ科のタムラソウ関連では、ナツノタムラソウやハルノタムラソウもあります。
更にタムラソウ(田村草)という種もありますが、こちらはキク科で
アザミのような花を咲かせます。
タムラソウは意外と奥が深いようですね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
それよりも、別名「卯の花」の方がより季節感があり、親しみやすいものです。
卯の花は旧暦4月の卯月に咲くから「卯の花」と言われますが、
逆に卯の花が咲くので「卯月」となった、とも言われています。
花の名前と季節の名称、どちらが先かは知る術がありませんが、
古くからウツギの花は季節の移り変わりを教えてくれていたようです。
那須では若干時期が遅くなり、ウツギの花が咲く頃は梅雨と重なります。
せっかく咲いた花も長雨に濡れて大変そうですね。
「谷川に卯の花腐しほとばしる」 虚子
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舘田 貴明
ひと昔前の日本は養蚕が盛んで、蚕の餌となる桑も各地に植えられていました。
養蚕の歴史は古く、紀元前より中国大陸で発達しました。
以降、蚕の繭から取れる絹はペルシャやローマなどへ高値で取引され、
いわゆる「シルクロード」が発達しました。
日本では弥生時代には中国からその技術が伝わっています。
幕末になると養蚕技術も成熟し、明治時代には資源の少ない日本の
貴重な輸出物になり、中国の生産量を上回り世界一になりました。
やがて最盛期を終えた養蚕は徐々に斜陽化し、現在では
白川郷の合掌造りのような跡地を見るばかりです。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
甘い香りで誘惑をしてくるのはスイカズラの花です。
スイカズラの名前は、つるを意味するかずら(葛)と、
花の奥にある蜜は甘く、その蜜を吸うので
吸うかずら→スイカズラになったと言われています。
蜜だけでなく花も純白で美しいです。
しばらく経つと花の色は黄色に変わるので
別名キンギンカ(金銀花)とも呼ばれます。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
ヤマボウシの清々しい花があちこちで咲いています。
白く目立つ花びらのように見えるものは総包片といい、
実際は花びらではありません。これは花のつぼみを包む
葉っぱが変化し、花のように見せかけているのです。
注意してよく見てみると、色以外の形状は葉っぱに
似ているような気がします。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
葉っぱに隠れて、控えめに小さな花が咲いていました。
こちらはアオハダの雌花です。
この樹は秋になると、赤く染まる実が美しく散りばめられます。
たくさん実ると良いですね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
ナツハゼの花が横一列に仲良く咲いていました。
スズランのような小さな花ですが、こちらはツツジ科の樹木で
夏になるとブルーベリーにそっくりな実がつきます。
おいしさの方は残念ながらブルーベリーにはかないませんが、
野趣あふれる味を楽しむことができます。
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写真を撮っていたら、ミツバチがやってきました。
彼女たちにはちょうど良い大きさの花みたいですね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
ぽんぽんと、まるで宙に浮くように咲く花々を
降り積もる雪に例えて「ユキノシタ」。
また、冬季に雪が降っても緑色の葉が、その雪の下でも
残っているから「雪の下」。
さらには白く垂れ下がる花びらから「雪の舌」とも。
粋な名前の由来は、どこかで忘れ去られてしまいました。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
爽やかな香りを辿ると、ノイバラの花が咲いていました。
棘が多く、雑草のように生えてくるため
嫌がられることもありますが、秋の果実は
利尿や下剤として古くから利用されていました。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
ニシキウツギ(二色空木)は白から紅へと色が変わる樹木ですが、
このベニバナニシキウツギは、はじめから紅色の花を咲かせます。
この系統は変異が多く、他にも白い花が紅色に変わらない
シロバナニシキウツギなどがあります。
花の色が単一なのに名前にニシキ(二色)が入るのは
ニシキウツギからの変異だからです。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
押し寄せる波に見立ててタツナミソウ。
立ち上がった花々は、皆ほぼ同じ方を向いています。
ただ、花の向く方角自体は特に決まっていないようで
他の株はまた別方向と、各自思い思いに咲いています。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明