5月初旬は山の桜がようやく満開を迎えました。
そして中旬、林床の草本類の緑がすっかり落ち着いたころに
木々たちはいっせいに芽吹きます。
一日ごとに大きくなる葉、濃くなる緑。
大地の力強さを感じさせてくれるひとときです。
[5月3日]
[5月9日]
また、新緑と重なるように、低木のツツジたちが咲き、色鮮やかなフジの花、
卯の花ともいわれるウツギ、スイカズラ科の花々が咲き乱れました。
[タニウツギ]
足元には雑草とも呼ばれるシロツメクサやムラサキツメクサ、
オオイヌノフグリ、ヘビイチゴ、ハコベなどの花々が広がり、
ランの仲間や、フデリンドウ、マムシグサなどが見られました。
[マムシグサ]
そして何より美味しい野いちごがたくさん実り、
木苺やブルーベリーもたくさん花が咲きましたので
これからの収穫が楽しみです。
[菜の花]
やがて下旬にはすっかり初夏の装いに変わりました。
[ミツバカエデの大木]
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
果皮に"えぐみ"があることからエゴノキ。
また、ろくろ細工に使われるから、ロクロギとも言われています。
日本全国の山地に普通に分布しているためか、
ずいぶん安易な名前をいただいてしまったものです。
できれば美しく咲き広がる、この花に対して
名付けてもらえれば良かったですね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
「ユウレイタケ」とも言われる、ギンリョウソウの花が出現しました。
この植物は光合成を行わず菌類に寄生しているため
葉緑体がなく、全体が真っ白になっています。
普段は土の中に生息し、花の時期だけ地上へと蠢きます。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
二期の森の奥で、鮮やかな花畑が広がっていました。
まるでタンポポが群生しているように見えますが、
こちらはハナニガナの花です。
すらりとした草丈、風にそよぐ黄色い花々は
どことなく上品に見えます。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
名前のとおりに白色と紅色と、二色の花を
咲かせるのはニシキウツギの木です。
咲き始めの花は白く、徐々に紅色に染まってゆきます。
那須ではこの他に、はじめから紅色の花を咲かせる
ベニバナニシキウツギも見られます。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
まだ透き通るような若葉に囲まれて、イロハモミジの種が風に揺られていました。
モミジの仲間は種子にプロペラのような翼(よく)があり、
種が風に運ばれるときに、より遠くへ飛ぶようになっています。
よい風に乗れるといいですね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
丈夫で折れにくい特性から、鎌の柄などに利用されるため
カマツカと呼ばれています。
便利な用途もさることながら、ふわりふわりと咲き集まる
純白の花も美しいものです。
二期の森、5月は白い花々がたくさん彩っています。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
伝えたいことがあるのに、周りの人が気になってしまい
なかなか自分の気持ちを打ち明けられない。
携帯電話などの無い昔の人たちは、道などでその人の前を歩いて、
わざと拾ってもらえるように手紙を落としました。
その「落とし文」に見立てています。
森の落とし文は、昆虫のオトシブミが作ったものです。
くるまった葉の中には卵が入っていて、
孵化した幼虫は葉のゆりかごの中で、葉を食べながら成長します。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
フキのような葉っぱに、キクのような花。
何より1m近い草丈が遠くからでもよく目立ちます。
高山植物として7、8月に咲くと紹介されていることが多いですが、
高山とはいえない那須連山の中腹ほどにも生息しています。
標高が低いためか、5月下旬に花を咲かせます。
二期の森は首都圏より1~半月程度、春の訪れが遅くなりますが
高山植物たちは一般的な時期よりも早く咲き始めます。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
白く目立つ花びらのように見えるものは装飾花といい、
アジサイなどと同じように萼(がく)が変化したもので
実際の花はその真ん中にある小さなものです。
無理に萼を花のように見せているためか、5枚のように分かれる
装飾花の1箇所はいつも小さくなってしまいます。
美しい花になりきるのは、きっと大変なのでしょう。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
約40cmの大きな葉が印象的なホオノキは、花までも威圧感があります。
実は日本の樹木の中で、葉も花も最大のものなのです。
また、その激しいまでの甘い香りも特筆すべき点ですが、
残念ながら花も高い位置に咲くため、なかなか体験することができません。
朴葉みそに使われる葉は、このホオノキのものを使います。
この葉には殺菌作用があるため、食べ物を置くお皿代わりにも使われていました。
山地では普通に見られる樹木で、古くから人々に利用されていた歴史があります。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
春先から秋口まで、足元にはトキワハゼの花を見つけることができます。
指先くらいの小さな花ですが、密集しているものはなかなか風情がありますね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
小さなツリバナの花が咲いていました。
吊り下げられた花たちは、秋になると
よく目を引き付ける不思議な形の実になります。
また、ニシキギ科の植物ですので、
美しい紅葉を楽しむことができます。
しかし、緑色の地味な花は注意深く探さないと
気付かずに通り過ぎてしまいそうです。
どうやら今の時期は、あまり目立ちたくないようですね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
レンゲ(蓮華)とも呼ばれるゲンゲの花が道端で咲いていました。
この植物はマメ科で、窒素固定能力が高いため緑肥として
よく田んぼなどに植えられていました。
現在では化学肥料の発達などのためか、風になびく色鮮やかな
蓮華畑を見る機会は少なくなりました。
那須では道路の隅でひっそりと咲いています。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
シロツメクサはオランダからガラス製品を輸入する際に
クッション材として利用されていたものが、全国に広がったものです。
こちらは牧草としてヨーロッパから導入されました。
那須は牧場がたくさんありますので、きっとどこからか侵入してきたのでしょう。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
こちらはギンランと近縁種のユウシュンランです。
ギンランと同様に菌類への栄養依存が大きいため、
葉が小さく、そのためか花とのバランスが合わないように見えますね。
ラン科の植物は世界中に分布し、日本だけでも230種もあります。
栄養素は菌類より、花粉の媒介は昆虫に頼るものが多く、
それらの環境にも合わせて細かく進化してきました。
その結果獲得してきた、他の花々にはないラン科特有の趣は
観賞用として高く評価されると同時に、乱獲の対象になってしまいました。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
ギンランが森の中で咲いていました。
ラン科の植物はどれも独特の美しい花を魅せてくれます。
ただ、明るい森に潜む菌類に依存した生活史を送っているため、
現在ではそのような環境が少なくなり、
栃木県を含む多くの各都道府県で絶滅危惧種とされています。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
本日の那須は風が強く、名残惜しそうに咲く八重桜の花を
跡形もなく吹き飛ばしてしまいました。
5月も中ごろに入ると、すっかり森の緑が濃くなったように感じます。
暦の上でも立夏を過ぎ、どうやら季節は初夏を迎えたようです。
コナラの花
新緑の葉に紛れて、黄緑色の花序を揺らせています。
![]()
「心よき青葉の風や旅姿」 正岡 子規
爽やかな風にまかせて、何処か遠いところへ運ばれたくなりますね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
コナラの花
新緑の葉に紛れて、黄緑色の花序を揺らせています。
「心よき青葉の風や旅姿」 正岡 子規
爽やかな風にまかせて、何処か遠いところへ運ばれたくなりますね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
マルバアオダモの霞むような白い花が、
新緑の中で控えめに咲いていました。
森の木々も、それぞれが様々な花を付けますが、
高いところにあるのが難点ですね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
ぽんぽんと面白いかたちの花を咲かせているのは、
ウワミズザクラという桜の一種です。
およそ桜のイメージとはかけ離れているように見えますが、
小さな花ひとつひとつは、桜の形をしています。
花たちがあまりにも先の方に集まりすぎるので、
桜の雰囲気が失われてしまうのでしょう。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
遠く霞む山々には雪がうっすらと残っていますが
二期の森ではヤマツツジの花が咲き始めました。
澄み渡る青空、初々しい木々の緑、
朱に染まる鮮やかな花はよく映えます。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
満点星躑躅と書いて、ドウダンツツジと読ませます。
その名に相応しい小さな花を無数に咲かせていました。
東館パビリオンコート。
ミツバツツジの薄紫に続いて、真っ白な花が新緑によく似合います。
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ドウダンツツジは秋の紅葉も素晴らしいです。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
上の写真は近くで撮っていますが、実際は指の先くらいの小さくて可愛らしい花です。
![]()
恥ずかしそうに下を向いて咲いているので、気付かずに通り過ぎてしまいそうです。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
キッチンガーデンではブルーベリーの花が満開になりました。
この花ひとつひとつが、美味しいブルーベリーの実になるかと思うと、
今からワクワクしちゃいますね。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
「九輪草」と書きますが、必ずしも9輪咲くわけではありません。
輪生する花を、五重塔などの屋根から突き出た「相輪」に見立て、
「九輪草」と呼ばれています。
二期の森の渓流沿い、鮮やかな色が映えていました。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明