ネコヤナギが冷たい風に吹かれ、やがて森の中は小さな花々で埋めつくされました。
那須連山に残る雪もあとわずかになりました。
3月下旬にも雪が降り、4月上旬の森の中は冬の装いでした。しかし、足元をよく見てみると、あちこちでフキノトウが顔を出していて、ザゼンソウやフクジュソウなどが寒空の下、けなげに花をさかせていました。
[フクジュソウ]
やがてアズマイチゲの白い花が森の中で咲き始め、追いかけるようにカタクリが咲き出します。その後ミズバショウ、ニリンソウ、タンポポとともに春の七草が揃います。
木々もネコヤナギがふわふわし始めると、ウメが咲き、サクラが咲き、アカヤシオ、トサミズキ、ミツマタ、サンシュユなど紹介しきれないほど美しい花々が、毎日毎日咲いては散っていました。
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[ミツマタ]
[ヤマザクラ]
[カンヒザクラ]
ひと気の無い森の奥、誰に見せるでも無く、ただ凛と咲く花々は言葉では言い表せない美しさがあります。そのような自然の情景を少しでもお伝えできればと思っています。
さて、5月は新緑の季節です。コナラの銀緑、モミジの薄緑や紅緑など、様々な色の「緑」が楽しめます。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
モミジといえば秋の紅葉ですが、その花はあまり一般的ではないようです。
森全体を彩る鮮やかな紅葉とは異なり、控えめな小さい花を無数に咲かせる
春のモミジには可愛らしさがあります。
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舘田 貴明
森の奥で小さな花が咲いていました。
甘みのある鱗茎は食用になるため、甘菜と呼ばれています。
お腹いっぱいにするには、一体どれだけ集めれば良いのでしょうか。
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舘田 貴明
おいしそうなタラの芽を見つけました。
近年では栽培物が出回っていますが、やはり天然物は一味違います。
山の恵みが二期でのお食事に、彩りを添える時期になりました。
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舘田 貴明
イヌナズナ
春の七草は、芹(セリ)、薺(ナズナ)、御形(ゴギョウ)、繁縷(ハコベラ)、仏の座、菘(スズナ)、蘿蔔(スズシロ)で、二期の森ではほとんどの花が、今頃になって見つけられるようになります。
名前の前に「イヌ」が付いたこのナズナは、残念ながら食用ではありません。
ただ、春の野はこちらもよく似合うようです。
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舘田 貴明
2輪ずつ花を咲かせるので、二輪草と呼ばれています。
そのほかには1つだけのイチリンソウ、3輪のサンリンソウがあります。
二期の森の奥ではカタクリやアズマイチゲに代わり、ニリンソウやタンポポ、
スミレなどの花々が彩るようになりました。
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舘田 貴明
二期の森では、フデリンドウの花がそっと咲き始めました。
秋に咲くリンドウよりも小ぶりなので、気づかずに通り過ぎてしまいそうです。
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舘田 貴明
独特な形が印象的な花です。
アズマイチゲやカタクリと同様に、木々の新緑の前に一生懸命花を開かせます。
少し時期が遅れるからか、意外と知られていないことが多いです。
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舘田 貴明
昨日までの暖かさと打って変わり、本日は肌寒く気温は10℃を下回っております。
森の中のタンポポやカタクリなどは、残念ながら花を閉じてしまいました。
薄曇りの空の下では、紅色に染まるボケの花が際立っています。
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舘田 貴明
セイヨウタンポポはほとんど一年中花を見かけることがありますが、
この日本在来のタンポポは春の短い期間のみ花開きます。
まぶしいばかりの黄色い花が、あちこちでぽんぽんと咲いていました。
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舘田 貴明
4月に入って暖かな日が続いたからか、
早くもミツバツツジが咲き始めています。
東館ではレセプションからお部屋に向かう途中、
満開の花が皆様をお迎えしています。
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舘田 貴明
「さまざまのこと 思ひ出す 櫻哉」 芭蕉
桜にはたくさんのエピソードがありますが、人それぞれの歩んできた
大切な思い出にかなうものはありません。
今年も那須では桜が満開になりました。新しい季節が今はじまります。
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舘田 貴明
まんず咲く、その方言から名づけられたと言われています。
その名のとおり、山林の中では真っ先に花をつけます。
しかし二期の森では3月下旬まで降ることのある雪のおかげか、
4月に入ってウメなどのその他の花々と同じ時期に見られます。
黄色く垂れる独特の花弁が、まるで春を告げるように風の中でゆられていました。
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舘田 貴明
栃木県の花のひとつであるアカヤシオも、葉に先駆けて
美しい花を咲かせています。
このアカヤシオに続いて、5月に入ると白い花のシロヤシオ
(別名 ゴヨウツツジ)が咲き、県内ではそれらを総称して
ヤシオツツジと呼ばれることがあります。
二期の森ではその他にも薄紫色のミツバツツジや小さなドウダンツツジ、
朱に染まるヤマツツジなど様々なツツジを楽しむことができます。
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舘田 貴明
春の季語でもある、レンギョウの花もすっかり満開になりました。
黄色い花が散らばる樹枝の中では、一足先にミツバチたちが
一生懸命に花粉を集めています。
いったいどんな味のハチミツが採れるのでしょうか。
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舘田 貴明
春を告げる花は数多ありますが、やはり梅と桜が馴染み深いものです。
現代では春のお花見は桜を見に行きますが、万葉集の時代は
梅の花を愛でていました。まだ冬の寒さもあけきらない時期に
一足早く春の訪れを教えてくれる梅の花は、きっと珍重されたのでしょう。
首都圏でお花見シーズンが落ち着く頃でも、
二期の森では梅の花が咲いています。
まんまるのつぼみが、ほっこりと花開く様子を眺める。
そのような静かなお花見もおすすめです。
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舘田 貴明
ツクシと同じくらいの背丈のオウレンが、本館と東館の間を流れる
清流の脇でひっそりと花開いていました。
オウレンの根茎にはベルベリンが多く含まれ、生薬として利用されています。
健胃、整腸作用などの効果があります。小さな花ですが、
カタクリと同じく花開くまで長い年月を待つ必要があります。
新緑の頃には他の植物に埋もれてしまうため、
今しか見つけられない花のひとつです。
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舘田 貴明
田打ち桜とも呼ばれる、コブシの花(モクレン科)が満開になりました。
大きな花弁は遠くからでも良く目立ち、風に運ばれる甘い香りは、
山に咲く花の生命力の強さを感じさせてくれます。
那須でもこの花が咲く頃に、田植えの準備がはじまります。
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長い長い冬が終わると二期の森では、あちこちで春待つ花々が咲き始めます。
渓流沿いに鮮やかな赤紫を彩るのはショウジョウバカマの花です。
カタクリは夏になると地上部がなくなってしまいますが、
ショウジョウバカマは花の部分が緑色になり、このままの形で
同じ場所に残っています。
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まだ木々の芽吹きも始まらない4月のはじめ、森の中の
湿ったところではミズバショウの花が咲き始めています。
良く目立つ白い花びらのようなものは仏炎苞と呼ばれ、
実際は葉が変形してできたものです。
透き通る白色は遠くからでもすぐに見つけることができ、
やがてくる暖かな春を思い描かせてくれます。
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舘田 貴明
森の露天風呂からブランコまでの散策路では、薄紫のカタクリの花が
見頃を迎えました。木々の新緑の前のひととき、一斉に咲きほこる
小さな花々を楽しむことができます。
足元に広がるカタクリの花も、実はとても生育が遅く、二期の森では
7年もの間たった一枚の葉っぱだけで過ごしていました。
また、種もアリによって散布されるため、今後も長い長い期間を経て
少しずつ生え広がっていくのでしょう。
通常は写真のような薄紫色の花ですが、二期の森ではよく探してみると、
それ以外の色を持つ貴重なカタクリも見つけることができるかもしれません。
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舘田 貴明
二期の森ではカタクリより少し早く4月上旬から中旬に見つけることができます。
純白の花びらはカタクリの薄紫の花とともに、鮮やかに林床を彩ってくれています。
森の木々が生い茂ってしまうと林床までは日光が届かないため、初春、
まだ木々の芽吹きが始まる前にこれらの植物は花を咲かせます。
やがて来る新緑の季節には地上部の花などは枯れてしまい、
翌年の開花までは地下茎(球根)だけになってしまいます。
せせらぎの音響く森の奥にて、小さな花々はひっそりと咲きこぼれています。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明
那須連山を見上げる二期倶楽部の敷地内には、昔懐かしい里山の雑木林を散策することができます。那須は春夏秋冬が鮮明で、1年を通して移り変わる美しい景色を楽しむことができます。
少しだけ長く降り続く雪のおかげか、4月のはじめにようやく梅が咲き、追いかけるように桜、ツツジが咲きほころびます。閑散とした林内もツツジの花と競うように新緑が始まり、またたく間に緑に覆われ、夏の陽射しを森全体で吸収を始めます。暑さの盛りを過ぎる頃には、早くもススキの穂が目立つようになります。足元でドングリをたくさん拾えるようになると、リスたちがあわただしく駆け回り、冬の支度を始めます。やがて木々の葉も美しく燃えあがり、それとほぼ同じく、役目を終えた葉たちが林床に積み重なります。
そして那須連山から吹き降ろす風が白い雪を運び、すべての色を消し去ります。
森の中では人知れず小さな花々が咲いては消えて、静かに季節を紡ぎ続けています。
そのような二期倶楽部の森で見られる自然の景色を、少しでもご紹介することが出来れば幸いです。
森のコンシェルジュ
舘田 貴明